ミチ・ガーデン  − 新聞に掲載されました −



2022年(令和4年)6月2日
 本日、京都新聞で山口牧生を紹介されました。
 多くの紙面を使って亀岡市内の展示作品やミチ・ガーデンなど
 写真と文章で埋め尽くされています。京都新聞様ありがとうございました。
 内容を抜粋しましたので、どうぞご覧ください。

地域プラス
 丸みを帯び、なでるとどこか柔らかさを感じる石の彫刻が5月中旬から、亀岡市役所やJR亀岡駅近くの公園に出現している。実はこれ、著名な現代彫刻家、山口牧生さん(1927-2001年)の作品。生前暮らした市内の家にはまだ多くの作品が残り、一部は屋外展示もされているという。没後20年を経て、なぜ、作品が街中に置かれ始めたのか。理由を尋ねに、家へと向かった。(小川卓宏)
亀岡愛した著名な現代彫刻家、山口牧生さん
「四角」「まる」市内各所で遺作息づく
 山口さんの家は、大阪府豊能町との市境付近の山中を切り開いた亀岡市西別院町万願寺にあった。長女でアーティストのさとこさん(67)が迎えてくれた。「40年くらい前、ここに来たときは山の斜面一面にカヤが生え、電気も水道もなかったんです」。兵庫県西宮市に暮らしていた山口さん一家がそんな土地に家を建てたのは、黒御影石「能勢黒(のせぐろ)」の採石場兼アトリエがある豊能町に近かったからだ。
 広島県出身の山口さんは、京都大文学部哲学科を卒業後の1951年、大阪市立美術研究所に入り彫刻を学んだ。彫像や木彫りなども手がけたが、石工の紹介で出会った能勢黒にほれ込み、亡くなる2週間前まで砕石場の一角に設けたアトリエで作品を作り続けたという。
自宅近くで採石した能勢黒とベンガラの造形
 能勢黒は、硬く粘っこく細工に適している。8千万年前に形成され、ジャガイモのような玉石と呼ばれる岩塊で掘り出されるので、「父は『石を割ると8千万年前の闇が見える』と魅了されていました」(さとこさん)
 作品は特徴的で、石をノミなどで加工する際に生じるえぐれた部分にベンガラを塗って全体を磨き、仕上げる。黒っぽい石の中に血が通っているかのような作品で、ぬくもりも感じさせる。「納得できる形」として、節理によって割れて形作られる石の基本形「四角と、河原の石のように時とともに形作られる「まる」好んで作った。京都国立近代美術館(京都市左京区)や滋賀県立美術館(大津市)をはじめ、各地の公園などに据え付ける野外彫刻も多数手がけた。風雨でベンガラは色あせていくが、作品は今も時によって磨かれ続けている。
 亀岡の自宅には、今も大小約400点もの作品が残る。敷地には山口さんの妻で詩人の三智さんの名を採った「ミチ・ガーデン」がある。「四角い石」「まるい石」や、よく手がけたモチーフの「サドル」、寝っ転がって桜を見るための「ねそべり石」など、山口さんの作品の一部がさとこさんの作品とともに屋外展示され、誰もが自由に触れられる。
 ガーデンは2010年、没後10年を機に整備されたが、既に没後20年を過ぎた。訪れる人も少なくなり、このまま個人で管理し続けるのも限界が見え始めていたという。今年一月、亀岡市の「かめおか霧の芸術祭」で亀岡ゆかりの芸術家を取り上げる企画があり、江戸時代の絵師、円山応挙らとともに取り上げられた。
遺族寄贈「市民に触れてほしい」
 さとこさんはこれを機に「地味だけれども時間を超えた普遍的な価値がある父の作品を残していけたら」と、保管していた作品8点を市に寄贈。今回、市役所や公園に設置されたのは、それらの作品だ。
 さとこさんが市への寄贈を思い立ったのは、山口さんが亀岡の自然をことのほか愛していたからだ。その一端が、山口さんが執筆した1994年の京都新聞夕刊コラム「現代のことば」に残る。「自然のゆたかなところで空気も水もうまい。四季の変化が鮮明である」と、亀岡で生活し仕事ができることを喜び、亀岡盆地がかつて湖だったことから丹波の地名について「夕焼け空が波に映えてあかく輝いたのだろうか」と思いを巡らせていた。仕事を終え夕方5時から、庭で山の端に日が沈むまで時間をかけて1本のビールを飲み、時の推移を感じ、物思いにふけったエピソードもつづっていた。作品を特徴付けるベンガラの色は、案外、亀岡の夕焼けのイメージもあったのかもしれない。
 市内に作品を置いたのは、山口さんが愛した亀岡の風景に溶け込ませ、身近に感じてもらう願いがこもる。触っても乗ってもOKだ。さとこさんは「多くの市民に触れてもらい、将来的に機運が高まれば、残された全ての作品やミチ・ガーデンも亀岡に寄贈していきたい」としている。ミチ・ガーデンは事前連絡があればさとこさんが案内する。090(1133)0085。

−−−−− 新聞紙面上写真説明 −−−−−
@山口牧生さん(1980年撮影。さとこさん提供)
A市役所の屋外に設置された「エンタシスのある四角い石」と、表面に丸と一を彫り込んだ「まるいち」(右奥)。  左奥の石の仮面は、さとこさんが制作した「シラカシの精」=亀岡市安町
B亀岡駅北1号公園に設置された「石の中」。内側がくりぬかれているという。
 溝を埋めていたベンガラは風化し薄くなっている。公園は芝生養生のため7月過ぎまで入れない(亀岡市追分町)
C上面に空いた穴をのぞき込むと星座のように光の点が見える「石の中」(右手前)や、まるい石
 =亀岡市安町・市役所
D自宅倉庫に残された作品(亀岡市西別院町)
E牧生さんの作品が屋外展示されているミチ・ガーデン(亀岡市西別院町)


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